プロポフォールによる麻酔を用いた、苦しくない、質の高い内視鏡検査を提供します
検査日
内視鏡検査の費用例(保険診療)
内視鏡検査の重要性
※国立がん研究センターが算出した、2018年度の臓器別の癌罹患者数の予測
2018年度、臓器別の癌罹患者数の予測順位は大腸癌が1位、ついで胃癌が2位という結果でした。
私は2019年3月まで、信州大学の消化器内科で消化器内視鏡による診断および治療を専門としていました。
数ある診療科の中で私は父、祖父の影響もあって内科を選択しました。そして、その中でも消化器内科を専門に選んだ理由として、内視鏡には多くの可能性があるとおもったからです。
癌を早期に発見して、それを低侵襲な方法で治療できるという内視鏡のもつ能力に、若き日の私は魅了され、そこからは夢中で内視鏡を握り続けました。最初のうちは上手に操作ができず、患者さんに苦しい思いをさせてしまったこともありました。多くの患者さんのご協力と、先輩医師たちの助言を糧に内視鏡操作の腕前は向上し、患者さんたちからも「先生のカメラは今までで一番楽だったよ」とうれしい言葉をいただける頻度も増えてまいりました。
もちろん、手技のみではなく、カンファレンスや勉強会を通じて、実際に出会った以上のたくさんの症例に触れ、診断についても目を磨く努力を続けてまいりました。
しかし、我々内視鏡医がこうして日々勉強し、技術向上に燃えようとも、上記のごとく消化管癌の罹患者数が増える現実があることに、やりきれない思いを感じていました。
胃癌の原因は、特に日本人に限って言えばピロリ菌が原因の9割以上を占めています。胃カメラの検査を受けていただくことでピロリ菌の感染がわかれば、除菌をすることでその後の癌のリスクは大幅に減らせます。癌が見つかったとしても早期であれば外科治療までおこなわずに内視鏡治療のみで治癒が得られることも多いのです。
大腸癌も同様で、多くの大腸癌はポリープ(腺腫)が発癌することから起こり、ポリープの時点で切除してしまえば、多くの大腸癌死は防げるのです。
なのに、どうして消化管癌患者は減らないのでしょうか。
最近では人間ドックを受ける人も増えてはきましたが、ご高齢になっても、一度も内視鏡検査を受けたことがないという人がいまだに多いのも事実です。その理由は、やはり内視鏡検査が「苦しい」というイメージがついてしまっているからにほかなりません。
この「苦しい」というイメージを取り除くために先人の内視鏡医達は経鼻内視鏡の導入や鎮静剤の使用など、様々な工夫を凝らしてきました。しかし、それでも多少の苦しさや検査後の喉の違和感は拭いきることができず、一度検査を受けた人にその翌年も検査を受けていただくことの難しさが解消されたとは言い切れませんでした。

プロポフォールを用いた内視鏡検査との
出会い
2018年の4月から、私は当時勤めていた信州大学病院の人事で、週に1回駒ヶ根市にある昭和伊南総合病院で内視鏡検査をさせていただくことになりました。そこの内視鏡センターでは、通常であれば全身麻酔の際に使用する「プロポフォール」という麻酔薬を用いて、全例麻酔下での内視鏡検査をおこなっていました。これは、昭和伊南総合病院の消化器内科 堀内 朗先生(2018年イグノーベル賞受賞)が、日本で初めて内視鏡の鎮静剤として導入した薬であり、全国的にはまだ普及していないものでした。
これまで経験した麻酔薬は、いずれも安楽に検査がおこなうことはできるものの、麻酔が覚めるまでに時間がかかってしまい、検査してからしばらく頭がぼーっとしてしまう方がほとんどで、高齢の方は転倒のリスクに細心の注意を払わなければならず、中には検査後の説明を忘れてしまい帰宅してから病院に電話をしてくる方もいました。また、薬によっては血管痛(薬剤を注射する際に腕に痛みが走ること)を訴える方もいらっしゃいました。
そんな中で、プロポフォールという薬は、まさに衝撃的な麻酔薬でした。
まず、薬を入れてからあっという間に鎮静がかかり、麻酔の効果も従来のものとは比べものにならないくらいに優れており、何よりも麻酔から覚めるスピードが桁違いに早かったのです。患者さんたちは検査を終えてから30分もすればシャキっとしており、ふらつくこともなく歩き、こちらの説明をしっかりと理解していただけたのです。
堀内先生によると、昭和伊南病院では2004年からプロポフォールによる内視鏡検査を続け、その件数は延べ15万件以上(胃カメラ、大腸検査を合わせて)になるが、大きな事故になったことはないとのことでした。

昭和伊南総合病院消化器内科 堀内 朗先生と
2018年消化器病学会にて
安楽に受けられる内視鏡検査の普及を
目指して
堀内先生からも、「駒ヶ根地区で胃癌、大腸癌で亡くなる人をゼロにすることが自分の究極の目標。大野先生にも、松本~塩尻までの胃癌、大腸癌死をゼロにするくらいの気概をもってやってほしい」と言われ、私の心は決まりました。
現在、松本市でプロポフォールを用いて内視鏡検査をおこなっているクリニックはなく、市内では当院が初めて導入したクリニックになりますが、すでに検査を受けていただいた患者さんからは、
- いつ検査が終わったのか分からなかった。
- 喉の違和感が全くなくて気持ちが良い。
- 家で寝ていたのかと思った。とても気持がよいです。
- 麻酔を使った後なのに普通に仕事ができました。
- (検査が終わってから)これから検査ですよね?えっ、もう終わったんですか?
といった、非常にうれしいご感想をいただいております。また、検査を受けていただいたうちの実に100%の患者さんに、「満足した」、「来年もまた検査を受けます」と言っていただけました。

プロポフォール内視鏡検査を受けた
患者さまの声
- 「注射した後から全く記憶がなく、検査が終わり楽でした。これなら胃カメラも怖くないですね。喉の方も全然なんともない。ありがとうございました。」(70歳女性)
- 「考え事をしている間に注射をして頂き、記憶がないままに終わっていました。前回は2010年にやったのですが、苦しいのですすんでやりたい検査ではなかったので遠ざかっていました。これならやって良かったと思います。」(61歳女性)
- 「先生や看護師さんと会話をして、これからいざカメラが始まるのかと思ったら、もう終わったと言われてびっくりしました。ドックを他の病院でうけても、胃カメラはここでお願いしたい。」(38歳男性)
- 「前回は本当に苦しくて、胃カメラをつかんでしまったくらいでした。今回は眠ったことすら覚えていない。これからカメラを飲むのかと思った。こんなに楽なら毎日やっても良いくらいだね。妻は1回もカメラをしたことがないからすすめてみるかね!」(76歳男性)
- 「ぐっすり眠ってスッキリした。5分くらいしか寝ていないなんて信じられない。」(31歳男性)
- 「検査が終わったとき、家で寝ていたのかと勘違いしたくらいだった。そのあと普通に仕事にいけてとてもよかった。」(45歳男性)
プロポフォール麻酔薬を用いた
大腸検査
このたび2020年6月3日に待望の内視鏡室が完成し、6月22日からプロポフォールを用いた大腸内視鏡検査を開始いたしました。
プロポフォールを用いることで、腸管の緊張が取れるため、苦痛なく大腸の深部に挿入ができ、挿入が易しくなることで、挿入時間が短くなり、その分しっかりと時間をかけて引き抜きながら観察ができるため、病変の発見率は格段に上がります。
詳しくは、大腸検査ページをご覧ください。