「検査日」
「検査・治療の代金の目安」
胃カメラ | 大腸カメラ | 胃+大腸カメラ | 大腸カメラ(生検あり) | 大腸ポリープ切除 | |
3割負担 | 約4,500円 | 約6,000円 | 約10,000円前後 | 約10,000〜16,000円 | 約19,000〜30,000円 |
2割負担 | 約3,000円 | 約4,000円 | 約6,500円前後 | 約6,500〜11,000円 | 約13,000〜20,000円 |
1割負担 | 約2,000円 | 約2,000円 | 約3,500円前後 | 約3,500〜5,500円 | 約6,500〜10,000円 |
例えば、同日に胃カメラと大腸内視鏡を行った場合、3割負担の場合は4500+5500=10000円となります。
※ポリープを治療した場合、上記にさらに病理診断料が発生します。
「2019年を振り返って」
おかげさまで、2019年私が大野医院に入職してから、実に250件以上の上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を施行することができました。
そのうち、およそ9割でプロポフォールという麻酔を使用しました。
検査を受けて頂いた患者様全員から、「満足した」もしくは、「非常に満足した」というご回答をいただきました。本当にありがとうございました。
「大腸内視鏡検査について」
以前より、大腸内視鏡検査についても触れてきましたが、このたび本年6月3日に待望の内視鏡室が完成し、6月22日からプロポフォールを用いた大腸内視鏡検査も開始いたしました。
このプロポフォールですが、胃カメラだけでもこれだけのご評価をいただいてまいりましたが、実はこの麻酔は胃カメラよりも大腸検査でその真価を発揮するものなのです。
その理由としては、
- プロポフォールを用いることで、腸管の緊張が取れるため、苦痛なく大腸の深部に挿入ができる。
- 挿入が易しくなることで、挿入時間が短くなり、その分しっかりと時間をかけて引き抜きながら観察ができる。
- 患者さんも沈静がかかって動くことが少ないため、安定した処置(生検やポリープ切除)ができる。
といったものがあげられます。
1、2については、個人的にはプロポフォールがない状況での大腸検査であれば平均して挿入に約10分、引き抜きに約10分、治療適応の病変があれば+α分という状況でしたが、プロポフォールを用いるようになってからは挿入時間はほぼ5分程度となり、その分引き抜き時間を15分程度確保できるようになり、病変の発見率は格段に上がりました。

「プロポフォールの安全性について」
日本で一番最初に大々的にプロポフォールを内視鏡に取り入れた長野県駒ケ根市の昭和伊南総合病院では、2008年からの12年間でおよそ15万件の上・下部消化管内視鏡検査を施行してきましたが、今までに一度も内視鏡による事故を起こしたことがないとのことです。これは実に驚異的なことです。
プロポフォールで起こりうる合併症として、呼吸抑制や徐脈などがあります。
このうち、呼吸抑制については、「酸素投与」と「マスク換気」でほぼ10割改善します。しかし、徐脈については起こる頻度こそ少ないものの、起こってしまった場合緊急的な対応はできず、自然に回復するのを観察するしかありません。
病的な徐脈とは一般的に1分間に40未満の脈拍数のことを指し、普段から徐脈の方は、プロポフォールの使用は難しい可能性があります。
また、大腸内視鏡はその特性より胃カメラと比べてプロポフォールの使用量も増えるため、当院では安全性を考慮して80歳以下の方に限らせていただきます。また、80歳以下でも、重篤な基礎疾患を抱えている方の場合は、医師との相談の上、使用をお断りさせていただくこともあります。
「日帰りポリープ切除について」
通常、日本では「積極的に治療する大腸ポリープは5㎜以上」と線引きしている病院が多いのが現状です。
これは、5㎜以上のポリープになると癌の組織が混ざってくる可能性が高くなるためであり、5㎜以下の場合は癌がある可能性は極めて低く、むしろ治療による合併症のリスクとの兼ね合いから2~3年の経過観察を提案されることが多くなります。
私もかつてはこのような方針に乗っ取って内視鏡検査をしていましたが、時には、どんなに小さくても良いからできているポリープは全部取ってもらいたいという患者さんに出会うことがあり、その都度悩んでいました。
そして、そんなときに堀内先生と、”コールドスネアポリペクトミー”に出会いました。

「クリーンコロンの重要性」
堀内先生は、前述した昭和伊南病院で長年プロポフォールの研究に従事されており、そんな中で、ポリープを見つけたらその場で治療する、名付けて「あったら取って」という概念と、絶食の状態で朝10時までにその日に受診した患者さんは当日前処置をかけて検査に回すという、「予約なし当日検査」という受付方法を生み出しました。
これは日本では画期的なものでした。
この背景には、アメリカで生まれた「クリーンコロン」という概念があります。
日本語に直訳すれば、「きれいな大腸」という意味です。
2015年 アメリカで、45歳以上の方に対して、全員大腸検査を行い、ポリープがあったらすべて切除するという取り組みを行ったところ、大腸がんの死亡率が1970年とくらべて52%も減ったというデータが出たのです。
また、別の研究ではクリーンコロンによって、大腸癌の発生率も76〜90%も抑えられたという結果がでました。
堀内先生は、「内視鏡が一番上手なのは日本人。すなわち内視鏡は日本の文化ともいえる。内視鏡を今よりもっと気軽に受けれる検査にして、クリーンコロンをやる医者が増えれば、今日本で増え続けている大腸癌で亡くなる患者さんは絶対に減らせるんだ」と話してくれました。
。
「患者さんを大腸癌のリスクから守るために」
その時から、私の内視鏡医としての方向性が固まりました。
- 「わざわざ病院までいかなくても、クリニックで大腸内視鏡検査を受けられる」
- 「そして、クリニックでポリープの治療ができる」
- 「もちろんやるからにはクリーンコロンにする」
それが私が目指す大野医院の姿になりました。
私の願いは、「自分の患者さんから胃癌・大腸癌で亡くなる人を無くすこと」です。
そのためにも、クリーンコロンという概念、日帰りポリープ切除を当院でも導入することに決めました。
昭和伊南病院で行われていたポリープの治療は、細い針金の輪っかでポリープを締め付けて切り取る「コールドスネアポリペクトミー」と、ポリープを生検でむしりとる「コールドフォースドポリペクトミー」というものでした。
当院では主に、前者の「コールドスネアポリペクトミー」を行います。
この治療の利点は、粘膜の下の層までしか切除をせず、腸の筋肉を損傷しないために出血や穿孔(腸に穴があくこと)が極めて起こりにくい点です。
一方で、1㎝未満のポリープまでしか治療適応がなく、病変によっては組織が挫滅(傷んでしまうこと)することもあり、きちんととれているかどうか、詳細な病理評価を希望される方にとっては満足が得られない結果になる可能性があるという欠点もあります。
すこしでもそういったことを減らすために、当院では拡大機能がついた最新式の内視鏡を使用しています。これによって、治療をする前に明らかに取り切れるものか、癌じゃないかどうかを内視鏡的に診断し、当院で治療可能と判断したものを治療し、安全に取り切れないと判断したものは高次医療機関に紹介するという段取りを取っています。
「日帰りポリープを受けるためには」
まず、治療を受けられる条件として、
- 抗血小板薬、抗凝固薬を合計2剤以上内服していないこと
- 血液が止まりにくい基礎疾患がないこと
- 肝硬変などの基礎疾患がないこと
- 腎機能が正常であること
- 認知症がないこと
などがあります。
また、治療を受けたあと1週間の間は
- 遠出をしない
- 熱いお風呂に入浴をしない
- 畑仕事をしたり、重いものをもったりなどの重労働をしない
- 飲酒をしない
などの条件を守れる方に限ってお願いしています。
また、医療者が安全に治療をするために、あらかじめ感染症検査(B型肝炎、C型肝炎など)を行わせていただきますので、ご了承ください。