これってアレルギー…?子どもの食物アレルギー症状や治療法

    こんにちは。大野医院副院長の大野和幸です。

    当院のアレルギー科には、子どもから大人まで、花粉や食物、ハウスダストなどいろいろなアレルギーをお持ちの方が来院されています。ある日突然症状が出るアレルギー。「これまで何ともなかったのに」と、疑問や不安を持たれる方もいると思います。

    アレルギーは遺伝や生活環境など様々な要因が関係していますが、近年は研究が進み、アレルギーの原因物質(アレルゲン)の特定や治療、予防の方法が増えてきました。当院では、丁寧な診察や検査でアレルゲンを見つけ、患者さんそれぞれに合った治療や対策で症状を和らげていきます。

    • じんましんが出る
    • 体中の皮膚が赤くなったり、かゆくなったりする
    • 急に鼻水や咳が出る
    • 呼吸をするときにゼーゼー言う
    • まぶたが腫れる
    • 決まった食材を食べるとお腹をこわす

    などの症状が出たら、当院にご相談ください。

    さて、今回は子どもの食物アレルギーについてお話していきます。
    どんな症状が出た時に注意が必要か、症状緩和のためにどんな治療をしていくかをご紹介します。

    近年の傾向

    2020年の消費者庁のアレルギーを持つ人に対する調査によると、アレルゲンとして多いのは

    • 鶏卵(33%)
    • 牛乳(19%)
    • クルミなどの木の実類(14%)
    • 小麦(9%)
    • 落花生(6%)

    でした。

    ※これはあくまで、アレルギーを持つ人への調査ですので、「全ての人の3割が鶏卵アレルギーを持つ」という意味ではありません。


    食物アレルギーの原因食材
    出典:消費者庁令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書

    また、年齢別に見てみると

    0歳の赤ちゃんは、鶏卵が61%と最も高く、牛乳25%、小麦11%
    1~2歳の子は、鶏卵37%、牛乳18%、木の実類16%
    3~6歳は、木の実類28%、牛乳16%、鶏卵15%

    年齢を重ねるごとにアレルゲンが変わっていく傾向が見られますね。

    このほかにも、ゴマ、カニなどの甲殻類、魚などに症状が出ることもあります。

    発症時期は、1歳になる前が最も多いですが、小学生や大人になって発症することもあります。
    また、アトピー性皮膚炎を発症している赤ちゃんは、食物アレルギーを発症する可能性が比較的高いとされます。

    こんな症状が出たら病院へ

    症状は、アレルゲンを口にして2時間以内に出ることがほとんどです。
    じんましん、湿疹、下痢、咳、呼吸でゼーゼー言う、といった症状が急に出た時は、直前の食事で何を食べさせたか思い出し、記録しておくと良いでしょう。

    すぐに病院に行けない時は、症状の様子を写真に撮っておいていただけると、診断に役立ちます。
    まだ言葉の話せないお子さんですと、保護者の方がすぐに症状に気付けないことも当然あると思います。気付いた時に当院に来ていただければと思います。

    ただ、注意したいのは、急激に全身に重い症状が出る「アナフィラキシーショック」です。
    全身に発疹やかゆみが出て、呼吸困難や意識障害を起こします。
    症状の進行が速く、一刻も早く治療を受けることが必要です。
    急にぐったりする、ひどくゼーゼー言う、意識がはっきりしない、といった症状があれば、すぐに救急車を呼びましょう。

    どんな検査をするの

    アレルゲンとみられる食材を食べさせないようにする「食物除去試験」や、血液検査、皮膚テストなどがあります。血液検査では、アレルギー症状を引き起こす「IgE抗体」の量を調べることで、どの食材が症状を引き起こしやすいかが分かります。皮膚テストは、アレルゲンのエキスを皮膚にのせて、専用の針で少し傷を付けて反応を見ます。

    治療や予防

    赤ちゃんの時に発症した食物アレルギーは、自然に良くなっていくことが多いです。
    1歳を過ぎたら、医師の指導のもとで少しずつ除去する食材を見直していきます。
    状況をしっかり見ながら、一緒に治療を進めていきましょう。

    一方、小学生くらいになってから発症した場合は、改善しにくい傾向があります。
    現在は学校給食でも細かなアレルゲン対応をしてくれますので、まずはアレルゲンを特定するところから始めましょう。
    アナフィラキシー症状が出てしまった場合のために、自己注射器「エピペン」の携帯をお勧めすることもあります。使い方などは、当院で丁寧に説明させていただきます。

    過剰に心配せず、医師に相談を

    離乳食を始める時「この食材は食べさせても大丈夫かな」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    しかし、症状が出る前から過剰に心配して卵や牛乳などの食材を食べさせる時期を遅らせても、発症リスクの低下にはつながりません。

    自己判断による予防的な食材除去は、かえって栄養不足を招いたり、免疫獲得の機会を失ったりすることにつながりかねません。先ほど申し上げたように、赤ちゃんの時に発症したアレルギーは、年齢とともに症状が和らぐケースが多いです。あまり神経質にならず、新しい食材は少しずつ食べさせてみて、心配があれば当院にお気軽にご相談ください。

    今回のまとめ

    両親にアレルギーがなくても、お子さんにアレルギーが出ることもあります。
    逆に、両親にアレルギーがあっても、お子さんには出ないこともあります。
    アレルギー症状は、子供も大人も人それぞれ。
    アレルギーだと思い込んでいても、別の原因が隠れていることもあります。
    「もしかして」と思ったら、まずは検査と診察を受けましょう。

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