新型コロナウイルス オミクロン株について
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の国内での感染例が報告され始めています。これから年末年始の帰省などで人々の往来が増える時期を迎えますので、新型コロナウイルス オミクロン株について現時点でわかっていることと対策について整理しました。
新型コロナウイルス オミクロン株とは?
新型コロナウイルス オミクロン株とは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株の一つです。最初に南アフリカで報告され、世界で急速に感染が拡大しています。世界保健機関(WHO)は「オミクロン株」を警戒度が最も高い分類の「懸念される変異株VOC(Variants of Concern)」に指定しています。日本でも11月28日にオミクロン株はVOCに指定されました。
従来の新型コロナと比べてとにかく感染力が強い
オミクロン株の特徴として、感染力が極めて強いことが挙げられます。「1人の感染者が次に平均で何人にうつすか」を示す「再生産数」で見ると、イギリスから流行したアルファ株は従来株の1.45倍、インド由来のデルタ株は1.95倍とされていましたが、今回のオミクロン株はデルタ株の4.2倍と言われています。
また新型コロナウイルスワクチン接種済みであっても感染するリスクが高いと言われており、海外ではワクチンを3回接種したにもかかわらず感染した例が出ています。
軽症で済む場合が多いとの報告があるが油断は禁物
オミクロン株は前回流行したデルタ株と比べて、軽症で済む例が多いという報告もあります。デルタ株の場合は味覚・嗅覚障害や酸素化低下などが多かったのですが、オミクロン株の場合は喉の痛みなど、一般的な風邪症状が多いとの情報も出てきています。しかし、オミクロン株が南アフリカで最初に発見されたのは2021年11月初旬であり、まだ十分なデータが揃っている状況ではありませんので油断せずに警戒を続けることが重要です。
予防と対策
ワクチン接種はオミクロン株に対しても感染と重症化リスクを減らす意味で有効ですが、個人の考え方がありますので一概に言うことはできません。私個人の見解としてはメリットとデメリットを医学的に判断した上で、接種したほうが良いと考えています。自分の家族には接種するように指導しています。
特に高齢者や、基礎疾患(呼吸器疾患、糖尿病、高血圧症など)がある方はワクチンの接種をお勧めしてます。イギリスの保健衛生当局の発表によると3回目の追加接種によってオミクロン株の感染による発症を70~75%抑制できるとする分析結果が出ています。
普段からできる対策としては、これまで通りの基本的な感染対策「マスク着用・手洗い・手指消毒」を行うこと。また免疫力を高める食事をしっかり取ることをお勧めします。納豆、ヨーグルトなどの善玉菌を含んだ食品、野菜・キノコなどの食物繊維を積極的に摂取するようにしてください。タンパク質も腎機能に問題なければしっかりと取ること。糖質についてはある程度は摂るべきですが、摂りすぎは糖尿病や脂肪肝のリスクに繋がるため注意が必要です。
オミクロン株に感染した場合の治療について
基本的には従来の治療と同じ治療が行われます。
- 対症療法(酸素投与、解熱剤投与など)
- 抗体製剤
グラクソ・スミス社が開発した抗体医薬「ソトロビマブ」が有効な可能性があると発表しています。ロナプリーブ®️やゼビュディ®️(一般名:ソトロビマブ)などがあります。新型コロナウイルスの抗体を直接体内に投与するという治療で、デルタ株まではかなり効果的な治療とされていました。
抗体製剤はまだ新しい治療のため、副作用の報告も少ないですが、過敏症が出た方や授乳中の方への投与は推奨されていません。また小児の臨床治験のデータが少ないため小児に対する使用の場合は注意が必要です。
新型コロナの恐ろしいところは「発症していなくても他人に感染させてしまう」ところ
新型コロナウイルス感染症の恐ろしいところは「発症していなくても他人に感染させてしまう」ことです。自分が軽症や無症状であっても感染させた方が重症化することは十分に考えられます。ご家族や身近に高齢者や、基礎疾患をお持ちの方がいる場合は特に注意が必要です。県外の人と飲食の後であったり、発熱・咳・咽頭痛などの症状がある場合はできるだけ早く検査を受けるようにお願いします。
当院の新型コロナウイルス検査体制
当院は発熱外来(トリアージルーム)を設置しており、他の外来の患者さんと接触することなく新型コロナウイルスのPCR検査を受けることができます。検査結果は5分~10分で分かりますので、体調に異常がある場合は事前にご連絡の上ご来院ください(受入れ準備が必要ですので必ずご来院前にご連絡をお願いします)
またワクチンを接種済の方を対象に、体内に新型コロナウイルスに対する抗体がどのくらいの量あるかを調べる「抗体検査」も(こちらは自費になりますが)受けつけております。抗体検査をご希望の方はお電話またはお問い合わせフォームからお問い合わせ下さい。
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